『 アリス・イン・ワンダーランド 』 (2010)
監 督 : ティム・バートン キャスト : ミア・ワシコウスカ、ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム=カーター、 アン・ハサウェイ、クリスピン・グローヴァー、アラン・リックマン、 マイケル・シーン、スティーヴン・フライ、クリストファー・リー、 ポール・ホワイトハウス あまりにも有名なルイス・キャロルのファンタジー小説が、鬼才ティム・バートンのイマジネーションによって再び蘇る。成長したアリスの新たな冒険を変幻自在の映像という魔法で描く、至高の3Dアドベンチャー! 19歳になったアリス(ワシコウスカ)は、残忍な「赤の女王」が支配するワンダーランドへ迷い込んでしまう。マッドハッター(デップ)たち不思議の国の住人たちは、アリスを「預言の書」に記された伝説の救世主だと喜ぶのだが……。
Good!
・ 魅力はなんといっても、よく作り練り込まれた登場人物たち。そしてワンダーランドの寒気がするほどの美しさ。ジョニー・デップとヘレナ・ボナム=カーターのイカレ具合が最高。また、アン・ハサウェイが含みのある芝居で善悪のアンバランス感を暗示してみせるあたり、単なる子供向けではないしたたかさがある。
・ テンポのよい展開、ユーモラスで不思議な世界、しっかりとしたストーリーにグイグイ引き込まれ、あっという間に終わってしまった。3Dに関しては『アバター』には及ばないものの、独特の世界にはどっぷり浸れた。
・ 原作は未読で予備知識ゼロでしたがそれでも純粋に楽しめました。チェシャ猫、一匹飼いたい!
・ 「恐れるな。君は人生を戦い抜く力を持ってるんだ」……まるでそう言われているかのようだった。「現実は非情である」と訴える映画が幅を利かすご時世だが、この映画からは古臭くもまばゆい希望の匂いがする。
・ バートンらしさは薄くても「不思議の国のアリス」らしさはよく出ていている。原作の世界観を壊さずにオリジナルストーリーを成立させる手腕は、やっぱりバートンです。あと、とにかくアリスが魅力的。凄く斬新な女の子で、女優さん大当たりです。
・ 色彩豊かでありながら暗さの漂う世界。キャラクターたちも役者さんたちの特徴を残しつつ、滑稽さを持った見事な異形となっている。
・ この映画の見所は、アン・ハサウェイと言っても過言ではない! 彼女の演じる「白の女王」の、気品の中に時々見せる下品な一面がものすごくツボでした。
・ 僕が観た映画館は、女性と子供が75%、男性が25%(それも9割方は女性連れか家族連れ)といった感じでした。「ティム・バートンらしくない」という批評があるようですが、あくまで独立した1本の映画ですから監督の前作は無関係かと。ワンダーランドは綺麗だったし、キャラクターたちも面白い。楽しいファンタジーアドベンチャーでしたよ。
・ 異形の敵にせつない感情移入をさせちゃうのは、監督の好みかな。「赤の女王」が悲し過ぎる。
・ 自らの夢に迷い込んだはずのアリスは、自分が救世主である自信が持てない。「私がアリスよ。これは私の夢なんだから」と主張するほどに自分が偽者に思えてくる。そんな彼女が葛藤の末に本物のアリスとなっていく様は、バートン自身の体験が重ね合わせられている気がして面白い。
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No good
・ ストーリーの暗さに加え、画面も暗い。不必要なアクションに、途切れ途切れの原作シーン。全てが中途半端で面白いシーンがない。デップはまんま『チャーリーとチョコレート工場』のキャラなので新鮮味がないし、何を褒めれば良いのだろう?
・ 良くも悪くもディズニー映画という感じでした。独特の世界観とキャラクターは面白かったんですが、戦いの最後のアリスが呆気なさすぎるような。あと、ジョニー・デップが完全にアリスを喰ってしまっていました。今回この役に彼は必要だったのかなぁ。
・ 大人は「子供が楽しめそうだ」と思い、子供は「大人の映画だ」と思うんじゃないでしょうか。どちら向けにも踏み込めなかったモヤモヤ感が残ります。
・ 「赤の女王」がパンチのきいた良いキャラクターだった。善玉の「白の女王」の方が冷徹に見えたのは自分だけじゃないだろう。ただ、アリスがどうにも少年ぽくて可愛くない。少し色気がなさ過ぎでは……。
・ 原作ファンの自分としては、このあからさまにキャラクター商品化を狙った戦略に怒りを覚えました。もっと『アリス』を愛する人につくってもらいたかった。
・ 赤の世界と白の世界に分けて、バトルさせて、勧善懲悪的に赤の世界をやっつけるというストーリー。こんな話、アリスの世界観に必要なんだろうか。
・ 一流のシェフが、一流の素材を使って、凡庸な料理を作ってしまったという感じ。CGの無駄遣いに、小奇麗すぎる薄っぺらストーリー。「子供向け映画」としての皮肉でやってるんだとしたら、製作者も大したもんですが。
・ ティム・バートンの持ち味であるグロさやキッチュさはほとんど影を潜め、作風である物悲しさや切なさは脱色され、無味乾燥な絵巻物に仕上がっている。このままではティム・バートンの作家性は、ただの「ヴィジュアル」だけになってしまう。ファンだからこそ、大衆迎合化している彼を危惧してやまない。
・ ルイス・キャロルの原作を侮辱した悪質な映画。主人公を大人にしたことが決定的に間違っている。ジョニー・デップにこだわって「帽子屋」を出しすぎたのも悪印象。
・ ティム・バートンという人は、自分が惚れ込んだものには異常なほど愛情を注ぐけれど、ちょっとでも興味が薄いと全力を尽くさない節がある。バートンが『アリス』に惚れ込んでいたなら、こういう作品にはならなかった気がする。
【関連作品】 『ティム・バートンのコープスブライド』 (ティム・バートン監督、ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム=カーター声) 『チャーリーとチョコレート工場』 (ティム・バートン監督、ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム=カーター出演) 『ビッグ・フィッシュ』 (ティム・バートン監督) 『PLANET OF THE APES/猿の惑星』 (ティム・バートン監督、ヘレナ・ボナム=カーター出演) 『マーズ・アタック!』 (ティム・バートン監督) 『エド・ウッド』 (ティム・バートン監督、ジョニー・デップ主演) 『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』 (ティム・バートン製作) 『シザーハンズ』 (ティム・バートン監督・ジョニー・デップ主演) 『バットマン』 (ティム・バートン監督) 『ツーリスト 』 (ジョニー・デップ出演) 『ネバーランド』 (ジョニー・デップ主演) 『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』 (ジョニー・デップ主演) 『妹の恋人』 (ジョニー・デップ主演) 『英国王のスピーチ 』 (ヘレナ・ボナム=カーター出演) 『ターミネーター4 』 (ヘレナ・ボナム=カーター出演) 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』 (ヘレナ・ボナム=カーター出演) 『ファイト・クラブ』 (ヘレナ・ボナム=カーター出演) 『眺めのいい部屋』 (ヘレナ・ボナム=カーター出演) 『レイチェルの結婚』 (アン・ハサウェイ主演) 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』 (クリスピン・グローヴァー出演) 『ロビン・フッド』 (アラン・リックマン出演)
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