『 プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂 』 （2010）

 

監　 督　：	マイク・ニューウェル
キャスト　：	ジェイク・ギレンホール、ジェマ・アータートン、ベン・キングスレー、 アルフレッド・モリーナ、スティーヴ・トゥーサント、トビー・ケベル、 リチャード・コイル、ロナルド・ピックアップ、リース・リッチー
米国発の人気ゲームを『パイレーツ・オブ・カリビアン』を手掛けたジェリー・ブラッカイマー製作で映画化したファンタジー・アドベンチャー。6世紀のペルシャで、「時間の砂」を巡る壮大な戦いが始まる。 　王殺害の疑いをかけられたぺルシャ帝国の王子ダスタン（ギレンホール）は、アラムトの王女タミナ（アータートン）に窮地を救われる。彼女の目的は、ダスタンが戦利品として手に入れた「時間の砂」を操ることができる短剣にあり……

    
 

Good！

・スケールの大きさに圧倒される。見事に再現されたペルシャ帝国は迫力十分、戦闘シーンも凄い。「剣と魔法もの」としては最高レベルの作品。

・巧みに散りばめられたユーモア、深い家族愛、誠実で前向きな主人公。それらの要素が重くなりかねない話に彩りを加えている。アクション好き、歴史好きならば是非観るべきだ。

・主演のジェイク・ギレンホールのアクションが予想以上によかった。ヒューマンドラマ系の役者という印象が強かったので、なおさら驚かされました。

・次々と畳みかけるアクションシーンが本当に見事。登場人物たちも個性的で、それぞれキャラクターが立っている。退屈な場面が１シーンもなかった。

・ペルシャ軍が、強力な兵器を隠し持っている疑いのあるアラムートを侵略し、「時間の砂」を使いその過ちを正す。痛快アクションと見せかけて、アメリカへの痛烈な皮肉を込めている作品だと思う。

・見応えあるCGもあくまで視覚効果に留め、純粋にストーリーやキャラクターで勝負しようという気概を感じる。子供の頃にこの手の作品を読んだときのワクワク感が蘇った。瞬く間の2時間だった。

・裏切られ、追われ、敵が仲間になり、また信じ合い、ハッピーエンド。そんな王道ともいえる素直な展開に、終始ハラハラドキドキして観れました。

・『タイタンの戦い』でイオ役を務めたジェマ・アータートンが素敵でした。お転婆でやんちゃな可愛いお姫様役を、とても魅力的に演じていました。

・まさに直球の本格的冒険活劇。知恵と予算と労力を惜しまぬ意気込み満点の作りは、『ハムナプトラ』の一作目を思わせます。もたつきも無く軽快なテンポのまま、一気にクライマックスまで見せてくれます。

・兄弟の絆がなければゲームオーバーとなる原作ゲームに則った、思わず唸らされる王族たちの苦悩のドラマ。モロッコで撮影された、砂だらけの土地にドンと作られた巨大な都市。見事に再現されたペルシャの息吹を、是非堪能してもらいたい。

No good

・登場人物に誰一人として感情移入できない。何処ででもキスしたがるんじゃない！　展開も都合主義で、ラストもありがち。時間を戻せる設定なので、誰が死んでもあまり衝撃がない。

・主人公の過剰なナルシストさが鼻について、好感が持てない。ディズニー映画らしい、中学生向けの陳腐な作品という印象。

・撮り方に落ち着きがなく、アップばかりで何をやってるのかが分からない。ゲームを原作とした映画にありがちな、内容を無理やり詰め込みすぎて墓穴を掘ってしまった典型だと思う。

・最低限のストーリーが分かればいいって感じの雑な編集に、禁じ手と言っていい反則のラスト……観客をナメきった作品です。

・恋愛と兄弟愛、結局どちらを描きたかったのだろう？　どっちつかずで展開していくので、何かフワフワしてました。ラストまで大した盛り上がりもなく、眠気を誘われてしまいました。

・内容、展開、映像、全てに目新しさなし。オーラのない主人公に、魅力のないヒロイン。冒頭数分で分かってしまう黒幕。単に「予算が通ったから作りました」みたいな作品。

・原作ゲームを彷彿とさせる、ギミックを使った面白いアクションもほんの序盤まで。主役やヒロインたちが反発し合う様は、まるで子供のケンカだ。コミカル場面もセンスが感じられず、何だかB級のおバカ映画っぽい。

・目的地へ一切の苦労もなく簡単にたどり着くものだから、距離感が全くつかめない。一応は広い砂漠や寒そうな山々を乗り越えて旅しているはずなのに……。

・サブタイトルにもなっている「時間の砂」が、どう考えてもこの作品の仇となっている（笑）。ブラッカイマー作品のやりすぎ加減は今に始まったことじゃないが、あそこまで「何でもアリ」「デメリットなし」のアイテム出しちゃったら緊迫感も何もない。

・この手の「時間を操る」系のSFやファンタジーは、ご都合主義と紙一重になってしまう危険を孕んでいる。なので必ず予想を覆す何らかの大仕掛けを用意するもの。それがない時点で、この映画が傑作になることはあり得ない。

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【関連作品】
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』　（マイク・ニューウェル監督）
『フォー・ウェディング』　（マイク・ニューウェル監督）
『ブロークバック・マウンテン』　（ジェイク・ギレンホール出演）
『タイタンの戦い』　（ジェマ・アータートン出演）
『007 慰めの報酬』　（ジェマ・アータートン出演）
『砂と霧の家』　（ベン・キングズレー出演）
『スピーシーズ 種の起源』　（ベン・キングズレー主演、アルフレッド・モリーナ出演）
『シンドラーのリスト』　（ベン・キングズレー出演）
『ボビー・フィッシャーを探して』　（ベン・キングズレー出演）
『スニーカーズ』　（ベン・キングズレー出演）
『バグジー』　（ベン・キングズレー出演）
『ガンジー』　（ベン・キングズレー主演）
『17歳の肖像』　（アルフレッド・モリーナ出演）
『ダ・ヴィンチ・コード』　（アルフレッド・モリーナ出演）
『スパイダーマン2』　（アルフレッド・モリーナ出演）
『“アイデンティティー”』　（アルフレッド・モリーナ出演）
『死ぬまでにしたい10のこと』　（アルフレッド・モリーナ出演）
『マグノリア』　（アルフレッド・モリーナ出演）
『マーヴェリック』　（アルフレッド・モリーナ出演）
『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』　（アルフレッド・モリーナ出演）

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