『 運命のボタン 』 (2009)
監 督 : | リチャード・ケリー | キャスト : | キャメロン・ディアス、ジェームズ・マースデン、フランク・ランジェラ、 ジェームズ・レブホーン、ホームズ・オズボーン、 サム・オズ・ストーン、ジリアン・ジェイコブス、セリア・ウェストン、 デボラ・ラッシュ | 何者かから届いた箱により、大金を手にするか、誰かの命を奪うかという究極の決断を強いられた夫婦の運命を描くサスペンススリラー。リチャード・マシスンの短編小説『死を招くボタン・ゲーム』を基に、『ドニー・ダーコ』のリチャード・ケリー監督が不条理な世界を作り上げた。 ある日の朝、ノーマ(ディアス)とアーサー(マースデン)夫妻の元に、赤いボタン付きの装置が入った箱が届く。夕方、謎めいた男がノーマを訪ね「24時間以内に箱のボタンを押せば、100万ドルを進呈。その代わりにあなたの知らない誰かがひとり死にます」という恐ろしい提案を持ちかける。 |
Good! ・映画にぐいぐいと引き込まれました。キャメロン・ディアスの落ち着いた演技。しばらく見ないうちに大人の魅力が出てきましたね。ジェームス・マースデンも良かったです。頼りない人物を憎まれることなく演じきる俳優さん。 ・この映画は哲学的要素を含み、難しいテーマを扱っている。生きるということは責任を負うことであり、無責任に生きることなど無理だろう。人間は生きているだけで毎日何らかの「運命のボタン」を押しているのではないだろうか。しかしそこで立ち止まっているわけにはいかない。それをこの映画は教えてくれる。考えることこそ、この作品の目的である。 ・生きる道における正しい選択。それにまつわる欲。哲学好きな私にとって格好の題材であった。運命の赤いボタンが織り成す連鎖の描き方にも感心。 ・キャメロン・ディアスの、コメディのような明るさではなく感情を抑えながら表現する姿に好感。『私の中のあなた』に続いて新たな一面を感じました。 ・リチャード・ケリー監督の演出力は独特。オリジナル脚本へのこだわりを捨て、アメコミヒーローものなどを撮ってみたらどうだろう。面白いものができるのでは。 ・ストーリーは、強面の星新一ふうで、文明批判が主題のような気がしました。ラブコメのイメージが強いキャメロン・ディアスですが、憂いと恐怖を湛えた大人の女もまたチャーミング! ・日常でも数多の選択を強いられますよね。それがわかりやすくピックアップされて、結構ドキドキしながら見てしまいました。人間は、自分に都合のいい理由を基に行動していく。だからドラマも生まれるのだと思います。 ・運命のボタンの存在。これには作者の痛烈な皮肉が込められている。例えばイスラム圏では精緻な絨毯を織るために不当な賃金で子供を働かせる。さらには目への負担が大きい労働のため子供は失明に至る。我々はそんなことも知らずに絨毯を買い、子供達の労働環境を悪化させる商売に手を貸している。カカオにまつわる環境も同じことが言える。誰もが運命のボタンを押しているのだ。 ・前半部分はサスペンスとしてよくまとまっている。演出の水準も高い。キャメロン・ディアスの新しい境地を見れた気がする。 ・70年代の設定だけあって、メイク、髪型、カメラワーク、映像の質感、音楽と70年代を漂わせてくれていて新鮮でした。スカーフの巻き方もとってもいい。
No good
・原作はわずか17ページの短い小説。これをどのように膨らませて2時間の映画に仕上げるのか、製作者の力量に期待したが、とんでもないお話になっていた。 ・心理サスペンスと思い込んでいたが、トンデモ系のSF映画だった。中盤からは冗長な謎解きが展開し、どうしようもないエンディングにうんざりした。 ・心配していた通り、おもしろいのは仕掛けられたほうのリアクションであり、仕掛ける側の手の内をさらけ出していく後半部分になると、「そうじゃないだろ」という気持ちがどんどん膨らんできてしまう。 ・まずボタンを押させることによってどれほどの意味があるというのか。手間がかかるし、効率が悪い。30分くらいの手ごろな短編ドラマにしたほうがよかったと思う。 ・ボタンを運ぶフランク・ランジェラの正体が理解出来ず、途中から、どうでもいいやとなってしまいました。 ・キャスティングが良くなかった。キャメロン・ディアスではなくフレッシュな俳優さんがよかった。 ・登場人物の思わせぶりな態度やセリフって結構好きなパターンなんだけど、盛り上がりもないしもう少し短くサクッと見せて欲しかった。ぐだぐだとやりすぎ。原作の持ち味まで薄めてしまったのでは。 ・後半のストーリー展開がかなりいい加減で、結末もしっくりきません。映像や出演者がよく、NASAの職員の家庭にボタンが配られるという設定も興味深かっただけに、なんだかもったいない映画でした。 ・無駄に風呂敷を広げないで、リアリティある設定のサスペンス物に止めておいて欲しかったです。 ・人としての本質を問う内容なのに理不尽さや消化不良な感情が先行してしまう残念な印象でした。前半は結構楽しんで観れたんですが……。話が進むにつれて、そっちにいっちゃったかぁ、という残念な想いをする映画。 DVD Blu-ray 書籍 Blu-ray 【関連作品】 『ドニー・ダーコ』 (リチャード・ケリー監督) 『私の中のあなた』 (キャメロン・ディアス主演) 『ギャング・オブ・ニューヨーク』 (キャメロン・ディアス出演) 『バニラ・スカイ』 (キャメロン・ディアス出演) 『シュレック』 (キャメロン・ディアス声) 『チャーリーズ・エンジェル』 (キャメロン・ディアス主演) 『マルコヴィッチの穴』 (キャメロン・ディアス出演) 『メリーに首ったけ』 (キャメロン・ディアス主演) 『マスク』 (キャメロン・ディアス出演) 『幸せになるための27のドレス』 (ジェームズ・マースデン出演) 『魔法にかけられて』 (ジェームズ・マースデン出演) 『スーパーマン リターンズ』 (ジェームズ・マースデン、フランク・ランジェラ出演) 『X-メン』 (ジェームズ・マースデン出演) 『フロスト×ニクソン』 (フランク・ランジェラ主演) 『ロリータ』 (フランク・ランジェラ出演) 『デーヴ』 (フランク・ランジェラ出演)
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テーマ:映画レビュー - ジャンル:映画
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