『 トゥルー・グリット 』 (2010)
監 督 : ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン キャスト : ジェフ・ブリッジズ、マット・デイモン、ジョシュ・ブローリン、ヘイリー・スタインフェルド、バリー・ペッパー、ダーキン・マシューズ、ジャーラス・コンロイ、ポール・レイ、ドンホール・グリーソン、エリザベス・マーヴェル ジョン・ウェインにアカデミー主演男優賞をもたらした西部劇『勇気ある追跡』をコーエン兄弟がリメイク。厳密に言えばチャールズ・ポーティスの同作品の原作小説の再映画化である。製作総指揮はスティーヴン・スピルバーグが担当。 19世紀、最愛の父を殺害され、復讐を誓った少女マティ(スタインフェルド)。アル中のガンマン、コグバーン(ブリッジス)を雇い、いざメキシコへと危険な追跡を開始する…。
Good!
・ 2度目の映画化ながら、コーエン気質を充分に感じ取ることができた。脚本にはほとんど興味の無い映画ファンでもコーエン兄弟の脚本には感心するはず。人生の悲哀を感じさせてくれるラストがよい。
・ ロケーション撮影が素晴らしい。鉄道から降りたあとの西部の光景。ライフルで狙う広大な俯瞰ショット。さすがディーキンスである。鬼気迫る人間達の形相と大自然の対比を楽しんでください。
・ 少女マティが、物事の裏表を知り尽くしてる大人たちを口説き落とすまでがまず見もの。無鉄砲な少女の奮闘ぶりは微笑ましく痛快。全体的には心温まる物語でなく、皮肉が込められた西部劇。こういう作品を平然と作ってしまうことにアメリカ映画の不滅を感じずにはいられない。
・ ヘイリー・スタインフェルドの演技に見惚れました。14歳とは思えない天才ぶりで、負けん気の強い少女役を見事に演じきったと思います。彼女は名女優になる予感。
・ 本格的な西部劇ではあるけど、アメリカン・ニューシネマの香り漂う良質な作品。コーエン兄弟の雰囲気もちゃんと含めてあり、旧作はジョン・ウェインを楽しむ映画、今作はコーエン兄弟を楽しむ映画だと思った。
・ 演者としてジェフ・ブリッジスはジョン・ウェインを超えたのではないでしょうか。やはり酔いどれはジェフに歩があるでしょう。
・ ユーモアあり、ショッキングあり、切なさありの復讐劇です。コーエン兄弟らしいブラックユーモアが自然に入っていて、それがストーリーの面白さにつながっています。
・ ドライなバイオレンスと、壮大な見ごたえが見事に融合された西部劇。ラストの余韻を持たせる演出がニクい。古き良き西部を現代風に調理した秀作。
・ 個性的な主役3人ではあるが演者は奇抜になるのを抑え、ごく自然な演技に徹している。まぁジェフ・ブリッジスとマット・デイモンが監督の意図どおり演じれるのは理解できるのだが、マティを演じた少女までもが演じきるとは。
・ コーエン兄弟の特色を全面に押し出した作品ではないので『ファーゴ』を楽しめた方には合うと思います。両監督の色をスピルバーグがうまく消してくれたのではないでしょうか。
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No good
・ 序盤が退屈で仕方ない。起伏の小さい物語にしたことで、西部劇を現実にぐっと近づけた感もある。しかしそれが興味深い作品になるかは別の話。ラストも蛇足に近く、作品の質を落としただけ。
・ 旧作の痛快さが本作ではみられない。そして父親と少女の絆を描いていないため少女に感情移入をし難い。その他、唐突な展開も目立った。
・ 奇抜な展開が少ないため、コーエン兄弟のファンは肩透かしに感じる人も多そう。
・ ジェフ・ブリッジスのルースター・コグバーンには魅力を感じない。ジョン・ウェインの貫禄ある存在感を望む自分に出会いました。全体的に見せ場が少なく、ここを観て欲しいと主張できるシーンがない。CGでつくられた夜空などで誰が感動するのでしょうか。
・ コーエン兄弟に好感を持ってないというのもありますが、出来の良い映画だとは思いませんでした。後半、物語を複雑にしたことで、作品の魅力が削がれたと思います。彼らに才能があるのは認めますが、やらなくていいことまでやってしまうきらいがあります。
・ 監督の暗い演出は西部劇とは合いません。過去の西部劇を見直したくなりました。とってつけたようなエピローグも必要なかったと思います。
・ コーエン兄弟にしてはまともな作品ともいえる。しかしその分、押しの弱さと捻りの少なさが際立ってしまって物足りなさを感じずにいられなかった。
・ ストーリーに無理があるのに、キャラクターに魅力が感じられない。ジョシュ・ブローリンの存在感が薄く、物語に締まりがなくなってしまった。
・ 映像美に魅せられましたが、キャラに感情移入ができず、ラストも盛り上がりに欠けました。悪役をリアルに表現したかったのは理解できますが、作品として成立させることができないのなら止めたほうがいいです。
・ 監督の持ち味だと思うのですが、こちらが引き込まれそうになったら突き放す、ここでこう来るだろうと予測していたらそれを外しにくる。一作品に一箇所、要所で入れればベストなことを連発してしまっている。あまり感心しません。
【関連作品】 『勇気ある追跡』 (旧作) 『ノーカントリー』 (コーエン兄弟監督、ジョシュ・ブローリン出演) 『ビッグ・リボウスキ』 (ジョエル・コーエン監督) 『ファーゴ』 (ジョエル・コーエン監督) 『未来は今』 (ジョエル・コーエン監督) 『バートン・フィンク』 (ジョエル・コーエン監督) 『赤ちゃん泥棒』 (ジョエル・コーエン監督) 『トロン:レガシー 』 (ジェフ・ブリッジス主演) 『ヤギと男と男と壁と 』 (ジェフ・ブリッジス出演) 『クレイジー・ハート』 (ジェフ・ブリッジス主演) 『アイアンマン』 (ジェフ・ブリッジス出演) 『ビッグ・リボウスキ』 (ジェフ・ブリッジス主演) 『ブローン・アウェイ/復讐の序曲』 (ジェフ・ブリッジス主演) 『フィッシャー・キング』 (ジェフ・ブリッジス出演) 『タッカー』 (ジェフ・ブリッジス主演) 『スターマン/愛・宇宙はるかに』 (ジェフ・ブリッジス主演) 『トロン』 (ジェフ・ブリッジス主演) 『天国の門』 (ジェフ・ブリッジス出演) 『キングコング』1976年 (ジェフ・ブリッジス主演) 『サンダーボルト』 (ジェフ・ブリッジス出演) 『ラスト・ショー』 (ジェフ・ブリッジス出演) 『ヒア アフター 』 (マット・デイモン主演) 『グリーン・ゾーン 』 (マット・デイモン主演) 『インビクタス/負けざる者たち 』 (マット・デイモン出演) 『インフォーマント!』 (マット・デイモン主演) 『オーシャンズ13』 (マット・デイモン出演) 『オーシャンズ12』 (マット・デイモン出演) 『ボーン・アイデンティティー』 (マット・デイモン主演) 『オーシャンズ11』 (マット・デイモン出演) 『プライベート・ライアン』 (マット・デイモン主演) 『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』 (マット・デイモン主演) 『戦火の勇気』 (マット・デイモン出演) 『ウォール・ストリート』 (ジョシュ・ブローリン出演) 『ブッシュ』 (ジョシュ・ブローリン主演) 『ミルク』 (ジョシュ・ブローリン出演) 『プラネット・テラー in グラインドハウス』 (ジョシュ・ブローリン出演) 『告発のとき』 (ジョシュ・ブローリン出演) 『インビジブル』 (ジョシュ・ブローリン出演) 『ミミック』 (ジョシュ・ブローリン出演) 『グーニーズ』 (ジョシュ・ブローリン出演) 『父親たちの星条旗』 (バリー・ペッパー出演) 『リプリー 暴かれた贋作』 (バリー・ペッパー主演) 『ワンス・アンド・フォーエバー』 (バリー・ペッパー出演) 『グリーンマイル』 (バリー・ペッパー出演) 『プライベート・ライアン』 (バリー・ペッパー出演) 『エネミー・オブ・アメリカ』 (バリー・ペッパー出演)
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テーマ:映画レビュー - ジャンル:映画