『 エンジェル ウォーズ 』 (2011)
監 督 : | ザック・スナイダー | キャスト : | エミリー・ブラウニング、アビー・コーニッシュ、ジェナ・マローン、 ヴァネッサ・ハジェンズ、ジェイミー・チャン、カーラ・グギーノ、 オスカー・アイザック、ジョン・ハム、スコット・グレン、 リチャード・セトロン | 『300』『ウォッチメン』のザック・スナイダー監督による、ガールズ・バイオレンス・アクション・ファンタジー。精神病院の少女たちがイマジネーションの世界に入り込み、脱出に必要なアイテムを集めていく。旬の若手女優たちが銃器や日本刀を駆使する、スタイリッシュな映像美が魅力。 亡き母の遺産を狙う継父の陰謀で、精神病院に送られたベイビードール(ブラウニング)。彼女はそこで出会った4人の仲間とともに、自由を求めて空想世界を武器に戦いを挑むことになる。 |
Good! ・様々な映画、アニメ、漫画、ゲーム、音楽の中から、男の子の好きそうな要素を取りだし、全てを派手につなげたような作品。大人向けの苦みを少し付け加えた、豪華なお子様ランチという感じです。 ・主役の少女の衣装・アクション・立ち振る舞いが秀逸。戦闘シーンもスピード感があってかなり格好いい。主人公の脱出に向かって突き進む強い意志は、普段忘れがちな「熱さ」を思い出させてくれる。 ・精神病棟、売春宿、戦国時代、第二次世界大戦と次々に舞台が変わっていく展開は、ザック・スナイダー版『インセプション』といったところか。あまり細かいことを深く考えずに観る方が、楽しめるような気がする。 ・とにかくCGの量が尋常でない。荒唐無稽の世界観を表現するのに、とても効果的に使われており、監督のセンスを感じられる。 ・日本発のサブカルをシブい音楽に乗せ、クールな映像で小気味よく描いた快作。歌舞伎の良さが映像では伝わりにくいように、映画館の巨大スクリーンでこそ本当に楽しめる作品なのだと思う。 ・ただただガールズの大活躍に魅入る映画。基本的にノリ重視で、いい意味で馬鹿映画と言える。「テリー・ギリアムの映画」と言えば、分かる人は分かってくれるかな? ・ザック・スナイダーの初となる「原作のないオリジナル作品」ということで、彼の並々ならぬ意欲が伝わってきた。ほぼセリフのないBGMのみで進む序盤の展開も見事だし、何といっても主人公の倍ほどもある鎧武者とのバトルには度肝を抜かれた。アドレナリン出っ放しで楽しめる、A級エンタです。 ・映像の見せ方がとても「マンガ的」。細かい情報を排除して、大ゴマ見開きのごとくインパクト絶大のビジュアルで楽しませてくれる。随所に見られる日本テイストも面白い。 ・久々にぶっ飛んだ映画に出会えました。欠点らしい欠点はなし。しかし他人に勧められるかというと少し迷ってしまう、そんな映画。笑ってしまうくらい強くカッコイイ女の子たちを見て、ニヤニヤするのが正しい鑑賞方法かも(笑)。 ・決して悪口ではなく、この監督はバカだと思う! 自分の脳内妄想をそのまま映像化して、さらには金を取って他人に見せてしまう……普通は羞恥心が邪魔して不可能なことなのに、それで観客をここまで楽しませてしまうところが、一般人と創作者の差なのかもしれません。
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・「戦う美女たち」というコンセプトは、男性には受けがいいと思う。しかしながらストーリーがあまりに弱い。単なる若手女優の見本市になってしまっている。 ・戦いが単調で、似たようなトーンばかりなのが気になった。やたらとスローモーションを連発する辺り、引き出しの少なさがありありと見て取れる。 ・「女の子が色んなコスプレで大暴れするのが観たい!」という素直な欲求に従って作られた映画。やるならやるで、いっそレーティングを上げた方がよかったのでは? そうすればもっとコアなファンがついたように思う。 ・個人的には、主人公のダンスを一度だけでも見せるべきだと思う。その描写がないので、あの娼館が「現実と戦闘領域」の媒介でしかなく、とても中途半端な存在になってしまった。娼館が舞台の中心になっているだけに、終始そこに違和感が残った。 ・・邦題である『エンジェル ウォーズ』は、陳腐で的を外し過ぎ。原題の『Sucker punch(=不意打ちORだまし打ち)』の方が、映画を的確に表している。 ・あまりにも荒唐無稽、意味が分かりません。物語なんてものは冒頭10分ほどで完結しているし、あとは延々と少女たちが怪物を惨殺するだけ。ビジュアルに凝ればいいというものではないでしょう。 ・アクションシーンだけ先に構成が決まっていて、そこに薄っぺらい脚本を取り付けたのが丸分かり。『300』や『ウォッチメン』でもそうだったが、今回もこの監督のそんな悪い癖が出ている。 ・唐突に主人公の妄想に入り、怪しい爺さんからミッションが下される。それが「現実でのターゲットをダンスで魅了しているうちに、アイテムを盗む」という無理な作戦。せめて妄想内の敵と現実世界の男たちをリンクさせれば、もう少しマシな体裁になったのでは? ・全米では「映像はカッコイイが映画としてはダサい」とか「ザック・スナイダーは究極の女性差別主義者」などと、散々な評判で大失敗に終わってしまったそうだ。きっと日本でも同じだろう。 ・妄想世界の中では無敵で不死身。武器は日本刀と銃。衣装はもちろんセーラー服に、ミニスカ&ニーハイ。ここまでやっておいて、見えるパンツが黒だというのはどういうことか。少女たちのレズ要素がないのはどういうことか。監督は本当に、日本のサブカルを勉強したのか。私はそう問いたい。
【関連作品】 『エリザベス:ゴールデン・エイジ』 (アビー・コーニッシュ出演) 『コンタクト』 (ジェナ・マローン出演) 『ハイスクール・ミュージカル』 (ヴァネッサ・ハジェンズ出演)
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